No.00744

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「いつまでやってるんだろ、おら・・・」

「んだ?これが、ぱられるくりすちゃにあだっちゃ!」

「え?八甲田山支店に転勤…ですか?」

「まだらお!^^」

「スキーしてる?」

 

 

こちらなんか格安ですよ!トイレ付きでこの家賃です・・・何せ、丈夫ですからね~♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

警官が夜間、繁華街を警邏中に泥酔者を見つけた場合、保護する。
また泥酔者を目撃する通報等に因っても、現場に駆けつけて同様の行動。
泥酔者は尋常の理性を失う可能性があり、暴れだすことがあるためだ。
そして保護された泥酔者は保護室に収容される。いわゆるトラ箱だ。

トラ箱と違って、ブタ箱と呼ばれる設備がある。
こちらは泥酔者を収容する目的ではない。酒に酔って公衆に迷惑を掛ける存在と
一線を画す者が対象になる。被留置者の逃走及び罪証隠滅の防止が目的なのだ。
犯罪者と思しき容疑者が拘留または留置される施設で、これが留置場である。

宮城県登米市にある旧登米警察署庁舎が、警察資料館として公開されている。
一部のかたを除き警察とは実生活において、直接の縁がないことが多いだろう。
私はサラリーマン時代、顧客としての警察官に多数、お世話になった。
また個人的にも関係があり、十指の指紋が大阪府警にデータとして残っているだろう。

そんな話をすると私が犯罪者ではないか、と思われるので面白半分、公言している。
実際は自家用車が盗難に遭遇、捜査協力しただけなんだけど、その自家用車が数年後、
また盗まれた。どちらも暴力団が関与しているように、捜査担当者からは聞いている。
2回目の時は発見現場まで、パトカーに乗せてもらった。記念写真を失念、残念無念。

警察署は内部構造を知ることなど、小説やドラマの表現でしか機会がない。
それが前近代的な過去の施設であっても、その歴史的観点に於いて興味がある。
こうやって資料館として、わずかな拝観料徴収で維持管理していただくのは感謝に値する。
私は許されて、留置場の奥に座してみた。そこは正しく、屈辱の空間なのだ。

人気時代劇に於いて水戸黄門は、頻繁に嫌疑のもと受牢に甘んじる。
必ず助け出される脚本だからいいのだが、現実の留置場から逃走するのは至難であろう。
腕力に自信がないので、試みることは来世に持ち越すことにして瞑想を試みる。
背筋を伸ばし目をつぶり、自分が在らぬ疑いをかけられた容疑者として身を置くのだ。

市場で秋刀魚を3尾、300円で購入。しばらく歩くと別の魚屋にも秋刀魚が店頭に。
こっちは380円で4尾。さっきの方が大きいような小さいような。
へい、らっしゃいと声を掛けた店主、私が買う素振りを見せないものだから後ろを向いた。
奥の鯖を補充しようとしたのである。すると私の右からやってくる影。

電光石火、黒い猫が店先の秋刀魚を咥えて走り去ること鮮やか、拍手物の雑技団。
「お客さん、そんなことをされたら困りますなあ。」
先に帰った友人に2尾、分けたものだから私は1尾だけ袋に持っている。
ちょうど後ろ手に眺めていたのを店主は知らず、手を横に下ろせば疑いの眼差し。

「違う。これは、向こうの店で買ったものだ。」
レシートも友人に渡したものだから、証拠もなく。あの店に聞いてくれ、言い訳虚しく
私はすぐさま連行された。話は署で聞こう。ちょうど凶悪犯罪が発覚、取調べは後回し。
妄想の果て、居眠りを。気付かれず閉館されたら文字通りの監禁状態、あな恐ろしや。

 

 

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あとがき
しかし堅牢設計でしたね。どこかの政党よりしっかりした構造でした。
留置場の片隅、用便に穴が開けられているのみです。
そこにはパソコンもありませんし、冷蔵庫もありません。電子レンジもなければ流し台もないのです。
洗濯機もなければ、ベッドもない。シャワーもなければ湯船さえも。はあはあ・・・

 最後まで、お読みいただきありがとうございました

No.00743

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「いつまでやってるんだろ、おら・・・」

「んだ?これが、ぱられるくりすちゃにあだっちゃ!」

「え?八甲田山支店に転勤…ですか?」

「まだらお!^^」

「スキーしてる?」

 

 

こんな格好して歩いているんだから、仙台はおもしろい♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムツーの国は今日も、雪が降っています。昨日も降っていました。
おうちから外へ出られなくなると困るので、おとうさんは雪かきをしています。
おかあさんはおうちで、編み物をしています。それは子供用のセーターでした。
「ぼんてん丸や!こっちにおいで。ぼんてん丸ったら。あら?」

わんぱく坊主のぼんてん丸は、いつのまにか外へ出て遊んでいました。
おうちでじっとすることが苦手な子だったのです。
「しょうがないわね。まっ、そのうちにおなかが空いたら帰ってくるでしょ。」
おかあさんは晩御飯の用意をすることにしました。今夜は牛タンです。

「ふうっ、とりあえず玄関の周りは終わったぞ。おい、風呂は沸いてるか?」
雪かきは重労働です。おとうさんは汗びっしょりになりました。
「お風呂は沸かしておきましたよっ。それより、ぼんてん丸はいませんでした?」
「あれ?うちにいないのか?一緒に風呂へ入ろうと思ったんだけどなァ。」

裏庭に雪が高く積まれていて、その上にぼんてん丸が寝ているではありませんか。
「ぼんてん丸。ここにいたのか。何をやってるんだ、いったい?」
見上げると、屋根の雪が半分ありません。どうやらぼんてん丸は一人で屋根に登り、
雪下ろしをしていたようです。そして、下ろした雪の上に落ちたみたいでした。

「ぼんてん丸。ややや。これは、いかん。ひどい熱だ。」
気を失った、ぼんてん丸を抱きかかえて入ってきたのを見て、おかあさんは急いで
医者を呼びに走りました。おとうさんは服を脱がし、汗を拭き取って寝かせます。
「ううむ。これは疱瘡じゃな。助かるといいのぢゃが。」

「かあさん、もう泣くな。右目で済んだだけ、もうけ物ぢゃ。命があっただけでも。」
そんなことを物ともせず、ぼんてん丸はすくすくと育ちわんぱく振りは変わりません。
おしゃれな彼は、図画工作の時間に描く絵もちゃんと目を描いてくれ、と言いました。
正義感の強い、頭のいい彼は先輩たちにも可愛がってもらえました。

「おとうさん!俺、公務員になるよ。」
ぼんてん丸のことです。それなりの意志があるのでしょう。
「いいだろう。かあさん、ぼんてん丸のやりたいようにさせてやろうぢゃないか。」
「そうですね、おとうさん。わたしもそう思いますわ。」

ぼんてん丸は宮城県が一番、と考えていました。蔵王のお釜は絶景です。
松島も綺麗だし、牛タンもうまい。笹かまぼこも、ずんだ餅や萩の月も有名です。
ところが鹿児島県の友達は、さつま揚げが一番、と譲りません。確かに美味ですが。
そこでぼんてん丸は、日本中に宮城県の名物を伝えようと考えたのです。

県の採用試験を受け見事、採用されることになりました。
「ぼんてん丸より、むすび丸のほうがかわいいわ。」
東京の女性がつけてくださった名前を気に入り、今ではむすび丸に改名しています。
むすび丸は今日も、甲冑を着けたりハッピを着たり。そうそうスポーツバージョンも。

 

 

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あとがき
行政機関が観光周知を図る目的でキャラクターを使うことは、楽しいことと認識します。
滋賀県彦根市をご存じなくても「ひこにゃん」は人気者ですし、奈良の「せんとくん」も。
でも「ひこにゃん」のように意匠範囲でトラブルが起こるのは、残念に思います。
それなりの恩恵を被っている訳ですし、行政担当者には注意を怠らない対応を望みます。

 最後まで、お読みいただきありがとうございました

No.00742

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「いつまでやってるんだろ、おら・・・」

「んだ?これが、ぱられるくりすちゃにあだっちゃ!」

「え?八甲田山支店に転勤…ですか?」

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「スキーしてる?」

 

 

B型と答える・・・「典型的なB型ですよね!」・・・分かっているなら聞くな~!^^

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ、田沼さんて何型ですか?」
取引業者の女性と現場に向かう車の中で、運転しながら彼女が問いかける。
30代半ばの彼女は雄弁に語りながら、ハンドルを回す。カーブの多い峠道。
舌を噛むぞ、と言いたい。関西の人間が珍しいのか、私の髭が珍しいのか。

血液型に対し、日本人はA型を評価する。几帳面で社会性があるらしい。
対照的にB型は奔放で独創性に富み、扱いにくいそうだ。
業務においてA型が良く言われることを知っている。いつものようにA型と答えた。
「そうでしょうね。几帳面ですもの。あ、もうすぐ着きます。」

登米(とよま)市は宮城県の北部、岩手県に程近い位置にある。
食材の並ぶそこで、私はある野菜に興味を持った。
商品の陳列だが、「ネズミ大根」と書かれたそれは見たことも聞いたこともない。
もちろん私の知識不足に他ならず、私の足はそこにしばらく固定されていたようだ。

「あの~、こちらは撮影してもよろしいでしょうか。」
陳列商品を撮影することは、あまり好ましくないのだが残念なことに購入しても
まだまだ神戸には帰れない。味落ちの激しい大根を、持ち回る訳に行かず。
「いいですよ。面白い形でしょ。辛いんですけど、硬くて風味があるんです。」

「ただ・・・」そこまで言いかけて、店員さんを呼ぶ声が向こうから。電話らしい。
色が白く知的な女性で、外観も十分に興味があったのだが、それはすぐ忘れた。
藤原と書かれた胸の名札だけ覚えている。目的を終えて、車に乗り込んだ。
「ネズミ大根に興味を持たれたみたいですね。あ、もしかしてネズミ年でしょ?」

帰路も楽しいおしゃべりに包まれるのか、と思うとそれはそれで構わないのだが。
「え?なんで分かりました?」と答えた時に、三陸自動車道に車が入る。
ETCのゲート通過中、彼女は集中していたのだろう。寡黙の暫時が話を中断させた。
出張の仕事だし頻繁に会うことはないが、さすがに嘘を突き通すのも気が引ける。

撤回し暴露しようとした時に、その勢いをはるかに上回る調子が右から飛んできた。
「離婚した夫がネズミ年だったんです。マメでしたよ。田沼さんの一回り下かな?
 典型的なA型で田沼さんと、よく似ていました。マザコンでしたけどね。」
聞くつもりもないが離婚原因が見えてくる。いつか幸せになってくれればいいな。 

いくつか回って夕方になる。彼女は塩竃市の寿司店に。石巻市に帰れば遅くなるし。
来たことがないが評判がいいらしい。有名だが客対応の悪い店の話をしてくれた。
経費でご馳走してくださり、滞在している石巻市のホテルまで送っていただく。
丁重に礼を述べた。明日は社長と行動だ。終ぞ、B型の寅年と言えなかった。

後日、ネズミ大根についてもう少し聞きたいと思い、店員の藤原さんに電話しようかと
何度か思ったのだが行動に移していない。藤原さんにメリットもないだろうし、
続く言葉に、大した奇想天外もなかろうと考えたのである。逸話などは、あって然り。
次回に登米へ行けばまた聞けばよい、と考えながら撮影画像をしげしげ眺めて。

 

 

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あとがき
ネズミ大根は初めて見ました。どうやら宮城県に限らないようですが、勉強不足でした。
B型の寅年がウジウジした性格かどうか知りませんが、「ただ…」の後が気になります。
もしかして、「夜中に動いている形跡があるんです。先日、整然と並べていたら朝、出勤すると・・・」
なんて話だったのかも知れないし。それだったら定点カメラ設置を提案するかな?

 最後まで、お読みいただきありがとうございました

No.00741

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「スキーしてる?」

 

 

若林木ノ下四丁目・・・520円でした♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぽかぽかと気楽な、いや安穏とした昼下がり。
手入れの怠った庭に面した縁側で、初老の男が爪を切っている。
「ちょっとォ!おとうさん、飛ばさないでよ。」
傍で老眼鏡を掛けた、同じく初老の女が見ている婦人画報の上に飛んできた。

「ああん?飛んだか。これはとんだことで。あいてっ。」
老眼鏡をかけるのが面倒臭く、つい深爪をしてしまう伊賀隆造であった。
傍にいたのは妻の伊賀光子。小柄な夫と違って、上も横も大きな女である。
2人とも目が悪くなかったせいか、普段は老眼鏡も用いない。

工場に勤務する夫の定年と同時に、妻も2年を残して昨年退職した。
特に考えるところがある訳でもないが、子供のいない2人は得策と考えた。
定年になれば日本中を旅しよう、などとありきたりな夢を語る。
給与は多くなかったが子供にかける必要もなかった2人は、経済的に無理がない。

簡単なもので済ました昼だったが、隆造はどうも物足りない。
「おい!今夜は久し振りに、寿司でも食いに行かないか。」
「あら、賛成。私もお寿司を食べたいなって、思っていたところなの。
 だってお昼は簡単でいいって、おとうさんが言うもんだから。」

てくてくと2人は歩き、駅近くの暖簾をくぐった。
店を開けたばかりだったせいか、客はまだいない。隆造と光子は奥のカウンターに。
「おとうさん、今日はお任せコースでもいい?」
カウンターに置かれたメニューに書かれている8千円に、隆造は少しだけ臆した。

それを悟られまいと如何にも豪気な顔をするが、光子にはすっかり読まれている。
「へい、お任せコース。毎度ォ。」
こはだ、剣先と出され白身の魚に光子の顔がほころぶ。このヒラメは美味いと隆造。
大将もヒラメではなくカサゴ、ハマチではなくシマアジと、ついぞ言えず。

「単身赴任の弟からカマボコが届いてさ。仙台じゃヒラメで作ってるんだぜ。」
帰り際に別の客が話す言葉、光子の頭にこびりついている。帰路、夫に提案した。
「仙台か。サラリーマンの転勤希望ナンバー1のところだな。」
翌日、インターネット画面の前に、2人は頬を寄せる。ああだこおだ、と時間が過ぎた。

おいここも、あらここも、とプリンターにA4の用紙が溜まっていった。
年が明け、ネットで予約したフリーツアープランに2人は出かける。
牛タンだ、寿司だと美食家気取りの2人が貪る。青葉城址から見下ろせば大きなくしゃみ。
「あなた!お蕎麦、食べに行きません?」

プリントした用紙の1枚をタクシー運転手に見せる。若林区ですね、30分かかりませんよ。
「あさひ支店」と書かれた店の外観は、商売に貪欲とは思えなかった。
誠実そうな御亭主、優しそうな奥さん。ここが、ネットに載っていた蕎麦屋だな?
黙々とすすり終えて蕎麦湯を飲む。隆造と光子は同時に溜息。寿司屋の時よりにこやかだった。

 

 

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あとがき
神戸に移り住んで7年。大阪、神戸を含めて美味いうどんにあまり、出会えません。
ツユが私の口に合わないのでしょう。醤油だけの味は苦手ですし、麺も讃岐でなく手抜きが。
蕎麦に至っては無理もないですね。日中の寒暖差が激しくないと美味くならないそうです。
気候が厳しい分、東北の方はおいしい蕎麦を召し上がっていらっしゃるようです。

 最後まで、お読みいただきありがとうございました

No.00740

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「スキーしてる?」

 

 

原田甲斐に関する資料は、このくらいしか残されていないようです・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホームに降り立つ時、私は身震いした。
雪に包まれていた、その日の船岡駅。寛文2年旧暦の今頃、原田甲斐は猟小屋に。
大して積雪を経験していないから、視界が白ければ大騒ぎしてしまう。
JR東北本線船岡駅の構内、濡れた床で私は足を滑らせ、転びそうになった。

徒歩15分程度とは知っていたが、私はタクシーに乗り込む。
雪道を往復30分で歩けるとは思えず、カメラを濡らす懸念を払拭できない。
初老の運転手に目的を告げる。船岡城址公園に向かっていただく。
撮影のため随所に停車をお願いした。撮影移動に合わせて、待っていてくださる。

意外なことに彼は、原田甲斐について詳しい知識を持ち合わせていなかった。
細切れに移動していただき、撮影に満足できた。お名前を記憶して礼を述べる。
城址公園登り口にある、ふるさと文化伝承館に入った。
いらっしゃった男性に思いを伝える。男性は隣の資料展示館「思源閣」に私を案内。

そこには学芸員の方が。寛文事件の真相に、興味の熱が覚めやらぬことを告げた。
椅子を勧められ資料を出して来られる。正直、面食らった。
ここまでの対応を期待していなかったのだ。そして彼は、2階へと導いてくださった。
決して広くないそこは、柴田町の歴史が何と石器時代から展示されている。

結論ありき、の起承転結、見事な話法を駆使なさる。彼は一つの文書を示した。
「あの~、これは撮影…は、やっぱりダメですよ…ね?」
掲載目的の撮影に彼は笑みを浮かべて、どうぞとおっしゃった。抜け目無く、お言葉に甘える。
富沢村本地畑御検地帳に原田甲斐守家中とある。彼の表情が寂しそうに思えた。

「実は原田甲斐の家紋さえ、残っていないんです。」
史実として伝えられているのは時の大老酒井雅楽頭評定、悪行を重ねた原田甲斐が
伊達安芸に斬りかかった、とされる。伊達騒動の終焉、寛文事件だ。
山本周五郎氏の小説「樅の木は残った」では、原田甲斐を悪人と位置づけていない。

真相など分からない。氏の小説「風雲海南記」でも大老酒井雅楽頭の野望を展開。
伊予西条藩松平家の受難がそこに書かれている。伊予宇和島藩は陸奥仙台藩の初代藩主、
伊達政宗の庶長子、秀宗が入封。伊予宇和島藩の近くで育ったことを学芸員に告げた。
目を輝かせなさった学芸員。私は彼から、様々な逸話をお聞きする幸福に恵まれる。

原田甲斐守家の断絶、城の場所さえ定かではない。城址公園は後の柴田家である。
残ったはずの樅の木とは、城址公園に現存する物から創られた話なのであろう。
板倉内膳正宅で行われるはずの評定、不自然に変更された経緯が「樅の木は残った」に
書かれており同小説内に於いて終始一貫、原田甲斐の人間性は尊大なのである。

「最後にお聞きしたいのですが、寛文事件の首謀者はやはり原田甲斐でしょうか。」
愚問と知りつつ、私は問う。彼は明確な回答を避けた。すこぶる賢明な行動の裏に、
いまだ解明調査のままならぬもどかしさを感じたのは、思い過ごしであろうか。
学芸員の方の誠意に、心から敬意を表したい。タクシー会社に架電、先ほどの運転手を。

 

 

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あとがき
昨年の夏、石巻市に仕事で来た時に粋狂で、神戸から自家用車で東北を旅行しました。
その時に仙台から栃木県益子町まで移動する必要に、今回の行動を遂行できませんでした。
ですが石巻市の近く、涌谷の地を通過できました。伊達騒動の領地紛争現場です。
広大な水田は効率を感じます。領地紛争に納得。このたび船岡に行けて、本当に幸福でした。

 最後まで、お読みいただきありがとうございました

No.00739

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乗れなければ予定が狂っていたことでしょう・・・ありがとうございました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

平成17年4月25日午前9時18分、兵庫県尼崎市で凄惨な鉄道事故が発生した。
JR福知山線、宝塚発東西線経由同志社前行の快速列車は、半径304mの
右カーブを曲がりきれずに、線路沿いの分譲マンションへ激突大破。
運転士を含む107名の尊い命を一瞬にして奪い、未曾有の大惨事となる。

制限速度70km/hのカーブに列車は、116km/hの速度で進入し脱線、
外側へ転倒するように脱線した1両目車両に続き、後続車両まで脱線したもの、と
国土交通省航空・鉄道事故調査委員会、兵庫県警が結論付けた。
直接原因を、運転歴11か月の運転士による操作ミスと発表。

JR西日本は粉砕痕画像を報道機関に提出、置石説の仮説を十分な調査以前に示唆するも
撤回を行った。この事実発覚のあたりからニュース視聴者は、JR西日本の体質に疑問。
事故当時の鉄道本部長が事故調査委員会のメンバーである知人へ、調査報告を有利にする
工作などが次々と明るみに出た。JR西日本の謝罪態度に承服できない人は少なくない。

大阪と神戸の間、阪神地区の運輸激戦区である同線。分単位の競争が激化していた背景が、
そこにあった。余裕のないダイヤに対し、運転士のミスを含めて様々なトラブルが重なった。
動揺する運転士の脳裏にあったのは、待っている厳格な制裁であろう。
日勤教育と言われるそれは、人間の尊厳をも脅かす制度と知れる。証言は悲惨、極まりない。

時刻表は正確、と疑わない。気候によるダイヤの乱れなど、恵まれた関西では珍しい。
列車が1分でも遅れると不満を露わにする烏合の衆、私もその中の一人かも知れない。
運転士にそれほどの制裁が待っていようとは、ゆめにも思わなかった。
それどころか、自動運転であるとさえ認識していた。とんだ世間知らずである。

私はこの列車に乗る予定であった。所用で断念、幸か不幸か利用しなかった。
今でも利用することがある路線である。簡単には忘れることのできない事故であった。
1月の、とある日に仙台駅から東北本線を利用した。福島行の快速列車である。
十分な予習を怠り、ただ「船岡駅」を目指す。列車の最後尾が見えた。

その列車がドアを閉めたところへ私は到着。時間がくれば閉める義務が、車掌の職務。
信じられない出来事が始まる。冷える仙台駅で、暖かい東北イントネーションが向けられた。
「どちらまで行かれますか?」聞いてどうするのか、事態が飲み込めないままに答える私。
「あ、あの。この電車は船岡に停まりますか?」

「停まりますよ。どうぞ。」
嘘だろう。まだ信じられない。車掌がドアを開けてくださった。そして私は乗り込む。
この列車は2分遅れで発車しました、と車掌がアナウンス。理由らしきものが聞き取れない。
続いて各駅の到着予定時刻を告げる。2分のうち、60秒以上は私が原因だ。

30分ほどで、目的の船岡駅に列車は停まる。最後尾のドアから降りた。目の前に車掌。
先ほどは、ありがとうございました。いえいえ、お気をつけて。列車の後姿を撮影。
駅舎を出ると景色は白い。日頃、あまり見ることのない雪景色である。
小説「樅の木は残った」に書かれる原田甲斐とくびじろのくだり。大袈裟にも、それを彷彿。

 

 

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あとがき
東北在住の知人に聞きますと、天候が原因の遅延が頻繁にあるそうです。
都市部との違いもあるのでしょうが、遅れたものは仕方がありません。
それを取り戻そうと起きた、悲惨な事故。知人のお嬢さんが奇跡的に助かりました。
精神的な障害は残っているようです。被害者のご冥福を、改めてお祈りいたします。

 最後まで、お読みいただきありがとうございました

No.00738

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「スキーしてる?」

 

 

思えば遠くへ来たもんだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええ~、まぢィ?伊達ちゃんの後輩なのォ?」
「んだ。あんちゃん、仙商のラグビー部だっちゃ。」
「やっぱすサンドウィッチマンって、おもっしぇちゃねえ。」
「ねえねえ知ってるゥ?関西じゃあサンドウィッチマン、ウケねェんだとォ!」

広さは、さすがに東北随一の駅。洋菓子の匂いがぷうんと漂う改札を出る。
下校の時間に重なったのだろうか。女学生の声がきいんと耳に刺さってきた。
同じ学校の生徒かも知れない。紺のブレザーに長い黒髪。さすがに茶髪は目にしなかった。
若いうちは染めず塗らず、のほうが美しいことを、本人たちは知っているのだろうか。

寒空に露出した顔と脚は、確実に関西の平均的光景とは違って色が白い。
制服の生徒は義務だから気の毒だが、脚を出して歩く若い女性は、やはり意地なのか。
青葉通りに向かって歩く陸橋で、振り向いてみる。横に長く、壮観な駅舎。
仙台駅を撮影してみた。ズームレンズを静かに広角側へ回す。

ファインダーを介して、初めて気付く。私はつい、カメラを下ろした。
なんだ、このタクシーは。夥しい数である。ずっと待っていらっしゃるのだろう。
身内に運転手がいないので、想像の域を超えることはないが大変な仕事である。
いったい、どのくらい待っていらっしゃるのだろうか。

人は身勝手なものである。いや私だけかも知れない。少なくとも、私は身勝手だ。
大阪で手を挙げて、3分以内にタクシーが止まらなければ腹が立ってくる。
ウルトラマンなど3分も経てば、M78星雲とやらに帰ってしまう。彼も短気なやつだ。
いつも流してくれていないと困る。私のためだけに、存在している訳ではないのだが。

車内でエアコンの不要な時期は、一年を通してわずかではなかろうか。
客も乗せず暖房冷房に燃料を費やせば、会社側も不満であろう。
今頃ストーブの近くで経理課長が、机を蹴って八つ当たりしているのかも知れない。
ドライバーだって好きで待っているのではない。客が来なければ、始動できないのだ。

スーパーで連なるレジの場合、列の長さで並ぶ位置を決めたりする。
うっかりカゴ満杯の先客についてしまえば災難である。この世の終わりと念仏ぶつぶつ。
「あら、それだけでしたらお先にどうぞ。」
夕陽の鬼瓦みたいなおばさんが、慈母観音のように見えてくるからいい気なものだ。

混雑時、長い列の途中で身内が戻ってきたりすることがある。
「お義母さん、あっちで惣菜の安売りしてたの。」
嫁らしき女性が私の前に割り込む。身内だと、仕方がない。しばいたろか、われ!などと
大阪では言うのだろうが、しばいたことはない。フェミニズムな御加護のもと、女性は強い。

たまに団体で来られ、数台に分乗してくださると客待ちの車も、順番が来易いのだが。
レジ待ちの列のようにタクシー待ちの時がある。そんな時しかタクシーも稼げない。
寒い冬、顔だけを露出したおばさんが並ぶ。若い女性もおばさんみたいに脚を覆えばいい。
そっか分かったぞ。おばさんは面の皮が厚くなったので寒中、露出しても平気なんだな?

 

 

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あとがき
エスキモーや北欧の方も、顔だけは隠していらっしゃいません。
赤道に近い国で、夏季も顔を隠している女性は宗教的な理由です。
顔の皮膚は、強いのかも知れません。
私は面の皮が薄いようなので、隠して歩こうと思います。

 最後まで、お読みいただきありがとうございました

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