Archive for 7月, 2009
No.00551
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「うわァ~、きれい~!」少年探偵団の一員、吉田歩美が感嘆を漏らす。
「ほんとだァ~。」「すっげェ~。」円谷光彦、小嶋元太があとに続いた。
子供たちのはしゃぎ様に毛利小五郎も、その雄大な景色に目を奪われる。
「あ、前を見てっ!」遅かった。毛利蘭が発した時、ワゴン車は脱輪してしまった。
子供たちがいくら押しても、左後輪が空回り。楽しい避暑地への旅行だったのだが。
「どうしましたァ?」「あ、脱輪ですね。」「みんな降りて押そうぜ。」「よしっ。」
間もなく通り掛かってくれた4人に、コナンたちは救われた。
「どうも、ありがとうございます。子供たちが暴れまして。どうなることか、と。」
気のいいおじさんたちは、となりのコテージだった。どうやら、大学の同窓生らしい。
隣からは賑やかな談笑が聞こえ、知己を温める様子が伺える。
伝播する声が届かなくなったのも、夜が更けたものと思えた。こちらも子供ばかりだ。
談笑は口論と変わっていた。電子工学を専攻した4人だが1人、田沼が悪酔いしたらしい。
「そうそう、業務連絡するの忘れてた。あれ?圏外だ。」
「田沼。よせよ、こんな時間に。社員がかわいそうだろ。」
「ふん、天下のNECに入社したおまえに、俺の気持ちが分かってたまるか。
俺だって、松下に就職が決まってたんだ。オヤジさえ、倒れなければ。」
「おまえだって、会社は小さな電子部品製造会社でも、頑張ってるじゃねえか。」
「そうだよ。おまえたちの孫請けさ。しょうもない設計ばかり、しやがって。
6万も7万も携帯電話に金を取りやがって、処理は遅いしカメラはピントが合わねえし。」
「おい、やめろよ。浅間が設計している訳じゃないんだ。何もこんなところで。」
「うるせえ、蓼科。おまえのところのテレビ局は、何だありゃ?
チャンネル変えるたびに、いつもコマーシャルしてんのはテレ朝だけじゃねえか。
くだらねえバラエティばっかりやってないで、ちっとは教養のある物、放映しやがれ。」
「なんだと?おまえがバラエティばかり、見てるんだろうが。」
「おいおい。せっかく俺たち、久し振りに集まれたんだ。ケンカはよせよ。」
「いいご身分だな。100円でパソコンがついて来ますって売りまくりやがって。
設備の増強をしてないくせに、データ通信の権利ばかり売りつけやがる。
どれほど、儲かったんだよ。言ってみろよ。ちっとも、つながらないじゃないか。」
「なにっ!もう一度、言ってみろ。イーモバイルは時代の寵児、とさえ呼ばれているんだ。」
「入り口ばっかり増やして、出口が混んでりゃ首都高だって渋滞するさ。
穂高だって偉そうなこと言ったって、会社は儲かってんだよ。」
ベッドへ向かう田沼に手を挙げようとした穂高を、浅間が制した。
自分のコテージは、電話線が何者かによって切られていた。蓼科がコナンのコテージに。
「電話を貸していただけませんか。仲間が一人、死んでいるんです。」
毛利小五郎は、自分が私立探偵であることを告げる。田沼が浴槽で感電死していた。
3人から話を聞き、それぞれに動機があることを確認する。コナンは、あるものを見つけた。
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あとがき
謎の黒ずくめの組織に小さくされた、とは言えコナンである工藤新一は
まだ高校生なのです。それなのに、世間を知り難問も解決していく。
すごいですね。時々、アダルトな発言があるのが気になるのですが…
最後まで、お読みいただきありがとうございました
No.00550
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「佐野さん、お苦しかったらご遠慮なさってもいいのよ?」
「ご無理なさらなくてもいいですのよ?佐野さん。」
「佐野さん?悪いことは言わないわ。田沼さんや飛駒さんのおっしゃるとおりよ。」
「皆さん、ありがとうございます。でも何とか工面しますから。」
夫が失業したことを取り沙汰している。無理をさせて名門幼稚園に入れたものの、
佐野淑子の家庭では、その付き合いに苦労した。経済レベルに冷たい乖離が否めない。
自主規格に適合しない佐野を、快く思わない母親たち。
そんな親の不心得を知らず、子供たち同志は仲が良かったのだが。
佐野淑子をイジメの対象とするには、ある事件がきっかけになった。
昨年のクリスマスである。子供たちだけでなく、親同志もプレゼント交換を行った。
言い出したのは、最も裕福な田沼静香だった。夫の経営する会社は、代々続く黒字経営。
そのプレゼントイベントに反対した佐野淑子は、もちろん経済的理由からであった。
佐野淑子の少数意見など、父兄を取り仕切る田沼静香には通用しない。
逆らえばどうなるか、を知っている取り巻きも異論を唱えるはずがなかった。
クリスマスツリーに飾ったカラーボールに、プレゼント目録が仕込まれてお楽しみだ。
それぞれに何か当たるのだが、30万円のパーティー券が佐野家には残酷であった。
仮装事が好きな田沼静香の要望で、サンタクロースに静香自身がコスチュームを着る。
飛駒たちはトナカイの役で、静香のご機嫌を伺った。
にこやかにプレゼントを、子供たちに渡す。中身に10万円以下の物はない。
料理も一流だったのだが、親たちのプレゼントにも10万円を超える物が用意された。
そして今回、那須高原に集まりサマーパーティをしよう、と言うのである。
「みなさん、見物ですわよ。佐野さんがお越しになると思います?」
佐野の家庭で楽なはずがない。しかし娘の奈々美に、悲しい思いをさせたくなかった。
淑子は無理をした。実家に頼み込んで、パーティ券費用を工面したのである。
人気が出て久しいアンパンマンだったが、今回のサマーパーティに使われた。
仮装好きの田沼静香が提案したことは、誰もが知っていた。
イジメに苦しむ佐野淑子は、別な意味で危機感を覚えた。このまま続けば破産宣告である。
そうだわ。田沼さんさえいなければ。やがてどこからか、毒物を入手していた。
必ず主役を望む田沼静香。アンパンマンの面を選ぶに違いない。内側に仕掛けを。
控え室に侵入、パーティに着けるお面を探す。用意した毒物を、鼻の当たる部分に塗った。
吐く息に含まれる水分が、塗った毒を溶かして口に流れ込む算段だ。
さて田沼静香は、食パンマンの面を選択。色白キャラの選択基準が、佐野淑子の誤算だった。
「あ、違う。」始まったパーティーで、アンパンマンの体型が田沼静香ではなく、男性だ。
佐野和晃がメロンとマンゴーの載ったテーブルを倒す。唯一、佐野淑子の理解者だった。
毛利小五郎や目暮警部も見落とした、面の内側。江戸川コナンの姿、工藤新一が発見する。
「あれ~?この、お面の鼻のところに、何か流れた跡があるよ。毒なのかなァ?」
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あとがき
名門幼稚園に入れてあげたい気持ちは、親心として分かりますが
無理が生んだ差別や疎外感から、悲劇が生まれたことがありました。
子供に罪はなく、気の毒に思います。
最後まで、お読みいただきありがとうございました
No.00549
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毛利蘭が新聞折込を見てため息をついている。
「どうしたの?ため息なんか。」
ダメだダメだ、とつぶやき折込広告をたたんで立ち上がろうとした。
江戸川コナンがそれを開いてみる。
「お洋服が欲しいの?」
「そうなの。せっかくアルバイトしてお金をためたんだけど、
夏物バーゲンを買っても、すぐ秋物が出てくるのよねェ。」
小学生であるはずのコナンに、高校生の蘭は素直に答える。
「よく分からないけど、夏物と秋物があるんだね。」
「そうよ。夏物は涼しく見えるし、秋物は茶色とか落ち葉のイメージがあるわね。」
「そっかァ。お昼に食べたそうめんも、夏らしい器に盛り付けてあったね。」
「コナン君は、まだまだ食い気ね。うふふ。」
「先生、ご注文の楓を持ってきました。ここに置いておきますね。」
「ダメよ。益子先生は、創作に入ったら何にも聞こえないんだから。」
「まったくだよ。そのくせ、人使いが荒いんだから、困ったもんだ。」
取引業者の織部雄一は、益子庄司に嫌われているようだ。
「わァ、このお皿。もみじがついてる。」
みんなと陶芸体験に来たコナンは、創作焼物が並んでいる棚で見つけたようだ。
「いいかい、坊や?土をこねて作った皿にこれを貼り付けるんだ。上から釉薬をかける。
そうすると葉っぱだけ燃えて、こんな模様になるんだよ。」
工房で益子庄司が、コナンにやって見せた。
「あ。おじさん、葉っぱを舐めちゃった。」
「こうすると、くっつきやすいだろ?ほら。」
「ホントだ。おじさん凄いや。」
「まだまだ、暑いけどね。そろそろ、秋物の商品を作らないといけないんだ。
どうだい。こうすると秋らしいだろ?おじさんが考えたんだ。」
目を細めて子供に教える益子庄司。これが本当の姿であった。
そんな光景を、遠くから斜めに見ている視線があった。
「益子先生は心臓を患い、いつも薬を持っていました。」
工房の事務員が証言する。翌朝、出勤した事務員が第一発見者であった。
「目立った外傷もないし、これは心臓の発作だな。これを一応、鑑識に回しとけ。」
「警部さん、これも調べてみて。そう、この貼りついたもみじの葉っぱ。」
益子庄司を殺害した動機は、織部雄一の逆恨みであった。
目をかけてやり、鍛えるつもりだった。今は時代が違う。修行が若者に有用しない。
納入する、製作用の楓。葉の裏に、毒物を塗って犯行に及んだ。
それに気付いたのは、またしてもコナンであった。
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あとがき
丹波焼とも呼ばれる、兵庫県丹波地区の立杭焼ですが
先日、楓をちりばめた器を買いました。
早い話が、それで思いついた随筆なんですけどね。
まあ、そんな程度なんです♪
最後まで、お読みいただきありがとうございました




