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Archive for 10月, 2009

No.00643

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ねえ、うしろついてきてる?いいじゃないか、そんなこと・・・

踊ろォ、青い靴ゥ~!え?赤い靴じゃなかったっけ?

えんやこらせ~、どっこいせ~♪ハウルさん、河内音頭はやめてくださる?

ぶんちゃっちゃ~、ぶんちゃっちゃ~♪

たらったらったらったァ、うっさぎっのだんすゥ~♪

 
また行きたいなァ、とおほぐ♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かつて、音楽で表現できないものは何もない、と豪語した作曲家がいたとか。
音楽に題名が付いている以上、そこにストーリーがある。
それはシナリオありき、具現の途を辿ったものだけではなく、例えば「驚愕」のように
悪戯好きのハイドンが、聴衆を驚かせるような旋律を作曲したことによるものもある。

ベートーヴェンの第九は、それなりのストーリーが有名であろう。
第1楽章、第2楽章そして第3楽章と違った性格の音楽が展開される。
人生は違っていても、DNAは同じだ。年齢と共に考え方が変わるのは、当然のこと。
第4楽章の冒頭は、それらの回想形式。主題を滑らかに再現していく。

そうじゃない。究極の音楽とは、と自問自答が人生の回想ではなかろうか。
苦しみを突き抜けて歓喜に至れ、とシラーの詩がストーリー性の音楽を生み出していく。
歓びの謳歌がオピニオンナンバー125である。この音楽を作曲した頃のベートーヴェンは
まったく耳が聞こえない状態であったことが、言い伝えられている。

事の起こりは、5月に行った山形県天童市の出張であった。その延長が今回の宮城県であり
背景にETC特別休日割引制度があった。神戸市からは東に、大津市を抜けるまで
適用外ではあるのだが、東北地方まで2,100円の高速道路料金は嬉しいものである。
どうせなら出張のギャラを、放浪生活で使ってしまおう、という発想であった。

かくして東北の文化に触れることができた私は、少なからず幸福だったに違いない。
随筆ブログの読者様と何人もお会いできたことも、数々の惣菜が口元をほころばせるように。
7月25日の早朝、私は長野県にいた。稚拙な文章を寛容に読んでくださる、78歳の老人に
お会いするためである。以前から、電影の会話交流があった。

小柄な老人の体躯は、私を見上げることになる。しかし私には見下ろすことができない。
奥方と共に歓待してくださる老人は、極めて幸福そうに老いて来られたように見えた。
これは並大抵にできることではなく、滲み出るご夫婦のお人柄であろう。
半日であったが、初日から私の心にアルバムが形成されていく。その背景色は暖色であった。

その日は栃木県北部に移動したのだが、道中に何度も老人の笑顔を思い出した。
果たして、自分にあの笑顔ができるようになるのだろうか。東北旅行中も度々、浮かんできた。
東北は新鮮だった。厳寒に訪れた訳ではないから、無責任にも過酷と無縁に通過したはず。
その代償は、関西の都市部にはない自然の享受であり、年中がご馳走なのである。

究極の音楽と見つけたり、と第九のストーリー性を果たして自身の生涯に見出せるのか。
少なくとも長野県の老人は今、幸福そうに見える。もちろん、順風満帆な航海ではなかろうに。
バリトン声域の私は、テナーパートを歌わない。しかし経験しないソプラノもアルトも、
同時に生きていく。そのハーモニーは努力の均衡によってこそ、もたらされる。

計略に落ちて立ち寄った実家。言われなくても今の気楽が永く許される、とは思っていない。
神戸の自宅に帰って、9日分の荷物を家に運び込む。一つ一つの重さが、経験値なのだ。
数十年、第九を歌ってこられた退官音楽教師が、歌う度に奥行きが見えないとおっしゃった。
散れば咲き、散れば咲きして百日紅。庭に赤く咲いてくれている。主なきとて華な忘れそ、なんてね。

 

 

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あとがき
あのォ…単独事故で済まないかも知れないので、不謹慎だなって思うんですけどね。
岐路で思ったことは、このまま消えてしまってもいいなって思ったんです。
そして、その時の私は笑った顔なんだろうなって。
まあ、それだけ今回の9日間が幸福だったってことなんです、早い話。

 

 最後まで、お読みいただきありがとうございました





No.00642

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踊ろォ、青い靴ゥ~!え?赤い靴じゃなかったっけ?

えんやこらせ~、どっこいせ~♪ハウルさん、河内音頭はやめてくださる?

ぶんちゃっちゃ~、ぶんちゃっちゃ~♪

たらったらったらったァ、うっさぎっのだんすゥ~♪

 

 
こういう物があるから、大阪なんだよなァ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8月2日、私は滋賀県を走行していた。9日間の東北旅行にピリオドを打とう、と。
8時過ぎに岐阜県内で朝食を摂った。以降、名神高速道路をひた走る。
若い頃は追い越し車線を走ってばかりいた。今、走行車線から出ることが珍しい。
のんびりと走行、いろんなことを思い出す。東北は実に有意義であった。

そろそろ休憩でも、SAに入る。仮眠所のある珍しいSAだが、いつも通過していた。
どの辺に停めようか徐行している時に、携帯電話が鳴る。ほとんどの仕事が済むのだから、
携帯電話はありがたい。しかし画面には、友人の登録番号。仕事ではなさそうだ。
「徹っちゃん、どないしてんや?久し振りやのォ。元気しとんのかいや。」

幼馴染の徹志だ。大阪の、私の実家に近い。確か、家業の呉服屋を継いだはずだ。
「裕ァ、挨拶は後や。お、おやっさんが危篤やねん。今、どこに居てるんや?」
思わず左耳から携帯電話を外した私は、我に返ってもう一度左耳に付ける。
「徹っちゃん、俺に親は居てへんねん。今、滋賀県の多賀SAや。」

「アホなこと言うとらんと、早よもんて来い。お母さんが、わてに電話番号知らんか、
 聞いてきはったさかいに、わてから連絡しますゥ、言うといたんや。」
観念したか、のように電話番号を聞いた。実家の電話番号さえ、覚えていないのだ。
家の場所くらいは覚えている。30年近く経った今でも。徹志に礼を忘れるところだった。

「はい、田村でございます。」「ご無沙汰しております。裕でございます。」
お、奥様ァ~と慌てふためいた声。何やて、あの子からか。丸聞こえである。保留しろ。
電話で多くを語る人間は、たいていがはしたない。思慮が浅い証拠である。
メイドと違って、母は落ち着き払っていた。約2時間で到着を告げる。

「お坊っちゃま、お久し振りでございます。」
家を出るまで、ジイと呼んでいた斉藤である。さすがに総白髪になっていた。
車をジイに預けて飛び石を歩く。こちらでございます、と見知らぬメイドが案内した。
「元気そうね。コロコロとお太りになって。おあがりなさい。」

12畳の和室は、庭が見えるように開放されていた。中央に布団が敷かれている。
「父さん。ご無沙汰しております。お加減はいかがでしょうか。」
その時、何かしらおかしく思った。枕元に居るのは、メイドが一人だけである。
「おお、裕か。仕事は今、何をしておる?」

顔だけ向けた父は、顔色が悪いとは思えなかった。どこが危篤なのか。
「お父様は、随分と心配なさっていらっしゃるのよ。」
「裕。会社を閉めたことも聞いておるぞ。いい加減に、田村へ戻って跡を継がぬか。」
しまった。はめられた。危篤どころか、ぴんぴんしているではないか。

末長く御健勝に、とだけ告げて座を後にする。開けてもらったシャッターの車のドアを開く。
「待って、裕さん。お父様のご病気は本当よ。あなたに継いでいただきたいの。」
「お母さん。あなたに欠点があるとしたら、頭が良過ぎることですね。」
この次に訪れるのは、どちらかの葬儀か。角を曲がれば、大阪らしい陳腐なオブジェが見えた。

 

 

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あとがき
「お坊っちゃま。お願いでございますから、お戻りください。
 旦那様は気丈な方でいらっしゃいます。ご壮健そうに見えて先日、末期がんの
 宣告を受けたばかりでございます。裕様に、どうしても田村グループをお願いしたいのです。
 ジイは信じておりますよ。お坊っちゃまがお戻りになることを・・・」
                        この話…もフィクションです。登場する個人名・団体名は…

 

 最後まで、お読みいただきありがとうございました

 

     





No.00641

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たらったらったらったァ、うっさぎっのだんすゥ~♪

 
ど、どれにすればいい?迷っちゃう・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「修司!起きろ。5時だぞォ。」
母親に起こされて、眠い目をこすりながら顔を洗った。
適当な物に着替えて玄関を閉めた。納屋に停めた原付バイクに跨る。
壁に掛けているヘルメットを取って被り、家を出たのが5時半を少し回ったところ。

勉強が苦手な大垣修二は、卒業後の進路に悩む。クラスのみんなが夢を語る。
しかし修司に夢はなかった。家から近い、高速道路のサービスエリアに就職を求めた。
4ヶ月になる修司は、毎日が失敗の連続である。それでも、がむしゃらに働いた。
学校の授業とは、何かしら違った楽しさが、そこにはあったのである。

「お母ん、明日は6時のシフトなんだ。5時に起こしてくれ。」
「この子は、いつまで経っても自分で起きられず、どうするんだろうねェ。」
「いいからいいから。そのうち起きられるようになるよ。頼んだからね。」
「だったら、早く寝な。遅くまで、変なビデオばっかり見てるんじゃないよっ。」

「いらっしゃいませェ。できましたらお呼びしますので、お待ちくださ~い。」
「すんません。あっちの券売機で食券を、先に買ってきてもらえますゥ?」
「納豆定食のお客様~。お待たせしましたァ。お味噌汁が熱いので、お気をつけください。」
客と接するのが、こんなに楽しいとは思ってもいなかった修司であった。

「修司ィ、倉庫に行って味噌汁、取ってきてくれ。出し入り味噌汁って書いてあるやつだ。」
「はいっ。行ってきま~す。」
倉庫に入り、出し入り味噌汁の箱を探す。倉庫は涼しく、いくつもの保存食材が置いてある。
どうせ使うんだから、ともう一つ箱を上に重ねた。結構、重い。下に置いて倉庫を閉めた。

「すんませ~ん、失礼しま~す。すんませ~ん。すんませ~ん。」
背の低い修司は、その味噌が入っている箱で前がよく見えなかった。
ロビーで、たいていの方は避けてくださる。しかし子供には通用しなかったのである。
修司の前を子供が駆けて行く。子供が持っていた紙包みが、修司の膝を叩いた。

「きゃあ~!」こういうシチュエーションで、考えもなく声を上げる女性が必ず居るものだ。
バランスを崩した修司は、持っていた段ボール箱を前に投げ出してしまった。
幸い、味噌の入っているビニールが裂けることはなかった。ダンボールのひとつが潰れる。
「無理しなくていいんだぞ。張り切り過ぎやがって。擦り剥かなかったか?」

がむしゃらが好かれている修司。先輩も、まず修司を気遣ってくれた。
慌ててかたずけ、手を洗って持ち場に戻る。髭面の中年男性が食券を出した。
ごはんをよそい、味噌汁を椀に入れる。鯖を焼くのは海津先輩の担当だ。キャベツを皿に盛る。
先輩から受け取った鯖をのせて完了。目の前のテーブルにいたので、声をかける。

「漬物は付いていないのかね?」
そう言えばお父んも言っていた。最近の外食は、漬物が付いとらん。けしからん、と。
自己判断できないから先輩に聞いてみた。いいだろう、付けてやれ。了解を得た。
「おまたせしましたァ。こちら、お付けしまァす。ごゆっくり、どうぞォ。」

 

 

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あとがき
8月2日の朝、名神高速道路の養老SAで朝食を摂りました。
正社員なのかアルバイトなのか分かりませんが、若い元気な男性が働いています。
何かの用だったのか、ロビーを走っておりました。先輩の指示、はいはいと聞いております。
漬物が付いていないので聞いてみたところ、先輩に聞いて付けてくれました。

 

 最後まで、お読みいただきありがとうございました





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