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Archive for 11月, 2009

No.00673

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愛し合う2人~幸せの空~隣どおし~あなたとあたしかくれんぼ~♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お父さん、ごめんね。タイトルを見て、えっちな話を期待したでしょ?
ホントにごめんね。星新一先生は、えっちな話を書かないんだよ。
でも想像するのは自由だもんね。だって、こんなことで息抜きでもしなきゃ、
あの奥さんだもんね。わかる、わかる。よく耐えているよね、ホント。

聞いてるよ、隣の奥さんから。取引先の都合で遅くなったのに、
信じてもらえなかったんだって?遅くまで、怒鳴られていたみたいだね。
え?そのバンソウコウ、怪我したの?お皿、ぶつけられたの?大丈夫?
百均のだからって、そんな問題じゃないでしょ。かわいそうだなあ。

できちゃった結婚だったんだね。え、本命じゃなかったの?
そりゃお父さん、ちょいとお遊びが過ぎたんだね。え、違うの?はめられた?
はめたのか、はめられたのか。ま、どうでもいいや。
とにかく、運が悪かったみたいだね。逃げたくなる気持ちも分かるよ。

でもね、適度な緊張感があるからいいんだよ。何もかも悩みがなくなったらさ、
生きていくのも味気なくなる、と思うんだ。心地よい音楽が流れ、空調が整い。
ロボットが掃除も相手も、何もかもやってくれる時代がきたら、ぞっとするよね。
食事も決まった量が運ばれてさ。そうそう。そんな話が書いてあるんだよ。

もしかして被害妄想に陥ってない?自分だけが、なんてさ。
でも案外、本当かも知れないよ。誰かに見られているって思う時、実際に
後をつけられていたり。誰が何の目的かって?そりゃ、得する人がいるからさ。
例えば、そう思った時にお父さんは誰に相談する?そんな話も書いてあるんだよ。

違う家に生まれていたら、なんて運命論に溺れてない?仕方ないじゃん。
金持ちの家に生まれたから、お金で親族が争ったりするんだよ。遺伝子もあるしね。
ご先祖様がしてくれたことが、今となってはアダになることもある。
気持ちは嬉しいんだけれどね。遺伝なら、どこで断ち切ろうか。

奥さんと結婚した頃、幸せな時期もあったんでしょ?なら、それでいいじゃない。
あとは本人たちの努力次第だ、と思うなァ。不幸を背負って、生きている人だって。
それに、生まれつき難病を抱えている人もいるんだ。あとわずかな寿命と知っていたら
どうする、お父さん?今の緊張感も、天国からのサービスかも知れないよ?

星新一先生のショート・ショートって、登場人物が少ないからいいんだよね。
よくエス氏、とかエヌ氏なんて書いてある。勝手に想像して、知人に当てはめたりね。
案外、先生の実話が含まれているかも。もちろん、タイムマシンの話も、だよ。
単純な設定だから、想像をふくらませることができるんだ。会社?いってらっしゃい。

ふう、危ないところだった。あの人の奥さん今、俺と付き合っているんだよね。
見つからないうちに、かくれんぼしようかな?また、町内会で顔を合わすと気まずいもん。
だいたい星新一先生のSFだって、最後はドンデン返しなんだ。意外性の妙味ってやつ。
どうせ、あの奥さんとも俺は遊びだし。子供だって本当は、ご主人の子供じゃないんだし。

 

 

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 最後まで、お読みいただきありがとうございました

あとがき
まだ昭和の時代に買った本です。氏の作品は、複数が蔵書にあります。
口語で書かれた、明解で単純な文章が多いです。しかし、計算されているんですよね。
難解な単語を振り回すことなく、効果を得る手法はさすがですね。
意外性のドンデン返し、は読者を喜ばせてくれるのに十分です。





No.00672

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わっ臭ェ~!・・・くだらないダジャレを言い出したら、おっさんになっていますA^^);

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わ、臭い!と思ったらすぐ、ひと吹き。たいていの異臭は、これでOKです。」
中堅ドラッグストア・チェーン、グラモフォン社の仕入れ担当者を相手に、火箱勇作。
「それで荒利率は、いくらになるわけ?」
テキパキと説明して納得させる。展示用販促品もワゴン車から下ろしてきた。

大手メーカー商品群の前に販促ディスプレーを組み立てて、いかにも戦争を仕掛けている。
変則的な拍子の語り口で、いつもこの調子だった。
取引先も彼のリズムに、やり込められる。気がつけば仕入れていたのであった。
ホルスト商事の1番バッターでもある。営業成績は、もちろん悪くない。

「こんにちはァ~。ホルスト商事で~す。」
にこやかに現れたのは金沢敏正だ。訪れた時はちょうど、夫婦喧嘩の真っ最中。
月村薬局は、がさつな奥さんと几帳面で小心者の主人が経営していた。
「まあまあまあ、夫婦喧嘩は仲がいい証拠でございますなァ。あ、いらっしゃいませ~。」

我に返った二人が、慌てて笑顔を作る。あれ、どこに来客?
鳩が豆鉄砲を喰らったような顔の夫婦が、お互いを見合わせる。
「ほら、もう笑ったっ。だめですよ、お店で喧嘩しちゃ。お客さんがお越しになりますよ。
 そうそう、今日は新製品の消臭剤なんです。これは、いいですよォ。」

ただ一人、水田一男だけが白鳥大学の研究員から招かれていた。
優れた技術者である彼は、自ら志願して営業部に配属をなされている。
名刺に化学博士を冠する彼は、いわば翼のある使者であった。
営業手法は拙いが、知識と誠意が彼の武器である、と言えよう。

さて今月も、成績トップは木川哲平のようである。壁に貼られた進捗グラフが突出していた。
大口もさることながら、小さな注文も確実にこなしている。
業界で最も知られた営業マンで、同業他社も一目を置いていた。
その営業方法を盗もう、と周囲が躍起になるのだが、特に奇をてらっている訳でもなかった。

強いて言えばいつも明るく、いわゆるC調なのである。
話し口調も軽快な彼は、掛かる者に快楽をもたらしている、と言えよう。
決まった名台詞があり、たいていの人間がそれを口にしてしまうほど有名であった。
すべからく優れた外交員は、相手を幸せにしてしまうような旋律を持っているのかも知れない。

優れた営業社員たち。彼らの活躍は、もちろん単独で成しえる物ではなかった。
再古参の土橋孝徳は定年が近く、今では最前線を外れていた。老いは抗えない事実である。
しかし、社長が最も信頼を寄せているのも確かなのだ。土橋と共に、営業事務に携わるのは
魔術師のような雰囲気の天王寺駿と、神秘主義者の海王はるかである。

社長の唐沢太陽は、つくづく自分が幸せだと思った。
自分を取り巻く優秀な社員たちに日々、感謝している。当然、報酬も十分な数値を。
周期的に打ち上げを催す。当然にして経費で賄い、社員たちに負担をかけない。
宴会では無礼講。自分を社員たちに「唐やん」と呼ばせるが、弁えた社員たちは距離を忘れない。

 

 

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あとがき
ホルストの作曲した組曲「惑星」は、まず「木星」が有名ですね。
学生時代のトランペット、20年経った今でも指がピストンの動きを覚えています。
ヘルベルト・フォン・カラヤンは、この曲を様々な解釈で捉えたようです。
年代によって解釈が変わる演奏は、生きたことの軌跡かも。私も海王星のように消えましょう^^

 

 最後まで、お読みいただきありがとうございました





No.00671

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よく見たら、あばただらけ・・・惚れたらエクボに見えるんだよね~♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お父さん、次の日曜日は家にいらっしゃるわよね?」
「ん?次の日曜は特に予定もないが、どうしたんだ?」
藤原倫子が、ニルギリ・ティーを運んできた。夕食を終えて家族の団欒である。
「いよいよなのね、彰子さん。」

焼物の雑誌を開いたまま、藤原道雄はテーブルの上に置いて顔をあげた。
「いよいよって、院長の息子さんとの話だな。お父さんは、反対しないよ。」
立ち昇る湯気を鼻から吸い込み、目を閉じる道雄。組んだ手を左膝に置いて、彰子の笑顔。
「大丈夫。私たち、心から愛し合ってるの。」

彰子が嫁ぎ、一条病院から大量発注が来た。藤原商事から医療器具が納入される。
気の強い彰子は、経営に疎い院長に成り代わって病院を支配した。今は、夫が院長に。
成績優秀だった長男の頼通は厚労省に入省、活躍ぶりは外からも聞こえる。
そして次女の紀世子にも今、縁談話が持ち上がっていた。相手の家は、銀行の頭取である。

「…はい。かしこまりました。次の日曜ですね。お待ち申し上げております。」
電話を切った倫子が、険しい顔でリビングに戻ってきた。
「どうしたんだ、難しい顔をして。ゴディバが苦くなるぞ。ははは。」
「あなた。それが…収用にかかるって今、県の方が。日曜に説明で伺いたい、と・・・」

県道バイパスの計画決定に入っていることは、随分と前から知っていた。
県政は保守の中宮一郎から道路族の高階伊周に変わり、事業決定が強引に進められようと。
高階伊周は遠縁にあたり、大学が一緒である。犬猿の仲が周知のものであった。
「かまわん。先祖代々の土地だから、と話だけ聞いてのらりくらりと逃げるさ。」

収用に渋り、強制代執行まで持ち込むつもりはない。高階伊周に汚点を残したいだけだった。
「あのう、申し上げにくいことですが藤原さんの建物だけになりました。」
「すでに北と南は、ご理解をいただいておりまして。道が長く続かない状態であります。」
規則通り二人で来た県土木の人間は、それぞれ上目遣いに汗を拭きつつ。

「何?そんなばかな。」
コードレス子機を持たない右手に力が入る。折れたボールペンから、中のインクが飛ぶ。
無造作に置かれた収用の説明図面に、それが飛び散った。呆然と左手が力を失った。
ぽとり、と子機が床に落ちる。藤原商事が落ちていく音に変わっていった。

故障が続出、納入した医療器具にキャンセルや引取り依頼が相次ぐ。
そんな矢先、見栄えの好ましくない男が訪ねてきた。紀世子の取立てである。
男児が生まれず後継者を危ぶむ紀世子の夫とは、既に関係が壊れていた。浪費に走る紀世子。
国政に討って出ようとする高階伊周が、何かにつけて事業の邪魔をしていた頃である。

「倫子。もう、おしまいかもしれん。」
「あ、あなた。お疲れになっていらっしゃるのですわ。」
ブランデーグラスのマーテルに口をつけながら、リビングの窓から空を見た道雄。
今宵の月は、上弦が欠けている。衰退の途を辿る行く末に、道雄はまだ気付いていなかった。

 

 

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あとがき
収用の相談がありました。いわゆる公共事業の立退きです。
引越しは煩わしく、補償金の額ではない場合も少なくないことでしょう。
しかし世の中に平等は無理なのです。生まれ付いて不平等は始まっています。
貧乏人にも太陽は照ります。平等に。そして、そのためにも外で陽にあたる努力が必要なのです。

 

 最後まで、お読みいただきありがとうございました





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