No.00767
← 【人気ブログランキング】応援しておくんなまし m(_ _)m
「才三、今日の見込みはどうだ。」
「御前、天気晴朗なれど波高し。広告の存亡も危ぶまれております。」
「うむ。人間界では不況であるからな。」
「何か手を打ちませんと、我ら鹿賀家も飢え死にでございます。」
秀でた視力で港を見る才三。黄金山神社の階段からは、港が見渡せた。
よき時代では、大勢の参拝客や観光客が訪れたものである。
彼らが購入する、自動販売機の清涼飲料水までもが収益の対象なのだ。
そして鹿に与える煎餅のお陰で、御庭番を勤める鹿賀家の食事も賄われた。
「あかねっ!しっかりしろ、あかね。あかねェ~。」
若いメス鹿が倒れた。やつれ果てたあかねは、間違いなく餓死であった。
悲しき習性、人間の売っている段階で鹿煎餅を襲わない。
あくまでも購入後の客が差し出すものしか、口にしないのである。
「長老!おいら、もう我慢がなんねえだ。このままだと総倒れになるだよ。」
「そうだ、そうだ。太助の言うとおりだ。飢え死には、ごめんだ。」
「長老、覚悟を決めておくんなせい。でなければ、俺たち・・・」
「お覚悟を。長老ォ!」
「おまえたちの気持ちは、よくわかる。あかねには、可哀想なことをしてしまった。
だが軽挙妄動に走ることは許さぬ。御前様と策を練っているところぢゃ。
それより才三を見習うがよい。食べられる草を見分けて、食いつないでおる。
本来、わしらは鹿煎餅に頼らずとも、生きていけたはずぢゃ。どうぢゃな?」
言われてみれば、その通りである。人間の鹿煎餅も、才三は若い鹿に譲っていた。
長老の孫兵衛と才三が、御前様のもとに足を運ぶ。次なる策を練るためだ。
前回は人間たちを焚き付けて、広告を打たせた。しかし人間は広告に馴れてしまった。
自分たちの経済が冷え切っている以上、もはや言葉では動かなくなっている。
「おい、長老と才三さんはまだ戻らぬぞ。俺たちのために、真剣なんだな。」
策を練る、会議のようなものは夜を徹して行われた。様々な案が出されていく。
岐阜県の金華山と業務提携を行う案、距離があるため費用対効果を望めないだろう。
金華山遊園地や水族館の設備投資はどうか。箱物行政が疑問視されている。
イルカや鯨が船に化けたらどうだろう。空から金華山参りのお札を降らし、
持参者は無料で島へ渡すのだ。必然と島に金を落としていく。自販機売上でもいい。
化ける時間の長さに、無理があることが分かった。名案と思ったのだが。
「御前様。妙案がなかなか、出て参りませぬなァ。」
夜が白々と明け始めた頃、御前は腹鼓をぽおんと打った。仕方ない。こうしよう。
気は進まぬが、と切り出した案に、孫兵衛と才三がふんふんと聞き入っている。
御前は仲間の狸を総動員させ、人間を化かす。いやなに、他所では昔からやっている。
壮大な計画は着々と進み、若い狸たちも寝食を忘れて練習に励んだ。その計画とは…
あとがき
進捗状況が仲間内からメールで届いております。我ら単身赴任組も着々と行動を進めております。
宮城県内だけでなく、こうして全国で計画は実行されているのでした。
この計画が実現された後のことを考えると、夜も眠れません。
人間界の驚いた顔が目に浮かぶようです。いやァ、これは凄いぞ~!
最後まで、お読みいただきありがとうございました




おはようございます
すごく写真(一番上)がうまく
とれてますね
胸がキューインときました
鹿煎餅の材用はコシヒカリですか。スーパーでは新潟産の煎餅と餅が多いです。
こんばんは。
意表をつく視点にびっくりしました。これはすごいですね(^^)