No.00781
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コンサルタントとは何でも屋ではないか、と思ったことがある。
それは自分だけなのかもしれない、と田沼は考え直した。
その代わりと言えば何だが、かなり恵まれた位置にいることは確かである。
観光のみならず、食べたいものを口にすることができる立場だ。
「今夜、食事しながら今後の条件について、取り決めしましょうか。」
田沼は反論もなく、相手の提言に従順だった。
「何か食べたい物あります?あっそうだ。仙台は牛タンが有名なんですよ。」
確かに有名なんだろう。神戸在住の田沼が知っているくらいなのだから。
宮城県石巻市を拠点にした出張だが、県内を広範囲に移動する。
手段は専ら車であり、たまに女性社員の運転だったが、殆どは社長の車だ。
とにかく、よくしゃべる社長で質問をどんどん遠慮ない。
業務に関し、義務として答える。そして彼は博学だ。居眠りはもったいない。
「神戸のほうでは牛タンて、薄く切ってません?」
田沼は神戸や大阪での、牛タンの位置づけについて話した。前菜として、レモンを降る。
ところが仙台ではレモンの使用は珍しいらしい。扱いも主菜として考えているようだ。
仙台でも薄切りがあるらしいが、基本は厚切り、と彼は言う。
仙台の牛タンは、それほど歴史がある訳ではないらしい。
GHQの影響を否めず、現在もアメリカ産牛肉が適しているそうだ。
経済高度成長により増えた単身赴任者に好まれ、さらに輸入自由化が後押しする形になる。
最も、の功労者は扱い業者たち、と彼はあやかりたい本音を聞かせてくれた。
彼に続いて店に入る。客たちの明るい笑い声が、現時点での仙台市況を物語っている。
外の寒さをも吹き飛ばす陽気が、東北随一の都市を支えているよう思う。
店員に社長が、開いたメニューを指差しながら注文をした。
田沼は好き嫌いがない。いつものことであるが、社長が勝手に頼むのである。
アルコールがなくても構わない田沼だが、白飯が欲しい。社長は心得ていた。
牛タンの定食にいくらかのサイドメニューを田沼の前に置かせる。
自分は、一品メニューばかり頼んでいた。彼は少食である。
「田沼さん、遠慮せずどうぞ。お代わりもいけますよ。」
脂の少ない部位で、しつこくない。炭火で焼かれており、さらに脂分が下に落ちる。
「同様に交通費や宿泊費は負担させていただきます。当初のみの発想でしたが、
田沼さんとは今後もお付き合いしたいんです。よろしいですよね?」
結構、美味であるが厚めのそれは、やはり噛むことに気を取られてしまう。
彼は返事を求めず、さらに続けた。聞いているのだが、さすがに噛み切れない。
「ただ以前より、突然のお願いが出てくるかも知れません。いいですよね?」
田沼が独身であること、行動が自由に取れることなどを彼は心得ていた。
それより異論を唱える暇を与えないメニューに、田沼はやられたと苦笑いした。
あとがき
仙台の牛タンが今では、関西圏のスーパーにもその加工品が並んでいます。
たまに牛タンカレーだとか、見かけます。伊達政宗の頃から、かと思っていたのですが
まさか牛肉を口にする文化は明治以降でしたよね。
店内には標準語だけでなく大阪弁も。転勤者が頑張っているようですね。
最後まで、お読みいただきありがとうございました




牛タンは良く聞きますが、食べたことはありません。タンは英語です。本当に「牛の舌」なんでしょうかね。子供のころは「嘘つくと閻魔様に舌を抜かれるぞ!」と良く言われました。閻魔様は人間の舌が大好きだったのかな?
牛たん、おいしいですよね!
仙台に単身赴任している人がいたので、帰ってくるたびに、
いただいていました。
関西は、又、食べ方違うのかな??
この辺は、レモン絞って、食べますが・・・
契約内容はうのみにせず、よく咀嚼しなさい……ってことですね。