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Posts Tagged ‘蕎麦湯’

No.00741

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「いつまでやってるんだろ、おら・・・」

「んだ?これが、ぱられるくりすちゃにあだっちゃ!」

「え?八甲田山支店に転勤…ですか?」

「まだらお!^^」

「スキーしてる?」

 

 

若林木ノ下四丁目・・・520円でした♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぽかぽかと気楽な、いや安穏とした昼下がり。
手入れの怠った庭に面した縁側で、初老の男が爪を切っている。
「ちょっとォ!おとうさん、飛ばさないでよ。」
傍で老眼鏡を掛けた、同じく初老の女が見ている婦人画報の上に飛んできた。

「ああん?飛んだか。これはとんだことで。あいてっ。」
老眼鏡をかけるのが面倒臭く、つい深爪をしてしまう伊賀隆造であった。
傍にいたのは妻の伊賀光子。小柄な夫と違って、上も横も大きな女である。
2人とも目が悪くなかったせいか、普段は老眼鏡も用いない。

工場に勤務する夫の定年と同時に、妻も2年を残して昨年退職した。
特に考えるところがある訳でもないが、子供のいない2人は得策と考えた。
定年になれば日本中を旅しよう、などとありきたりな夢を語る。
給与は多くなかったが子供にかける必要もなかった2人は、経済的に無理がない。

簡単なもので済ました昼だったが、隆造はどうも物足りない。
「おい!今夜は久し振りに、寿司でも食いに行かないか。」
「あら、賛成。私もお寿司を食べたいなって、思っていたところなの。
 だってお昼は簡単でいいって、おとうさんが言うもんだから。」

てくてくと2人は歩き、駅近くの暖簾をくぐった。
店を開けたばかりだったせいか、客はまだいない。隆造と光子は奥のカウンターに。
「おとうさん、今日はお任せコースでもいい?」
カウンターに置かれたメニューに書かれている8千円に、隆造は少しだけ臆した。

それを悟られまいと如何にも豪気な顔をするが、光子にはすっかり読まれている。
「へい、お任せコース。毎度ォ。」
こはだ、剣先と出され白身の魚に光子の顔がほころぶ。このヒラメは美味いと隆造。
大将もヒラメではなくカサゴ、ハマチではなくシマアジと、ついぞ言えず。

「単身赴任の弟からカマボコが届いてさ。仙台じゃヒラメで作ってるんだぜ。」
帰り際に別の客が話す言葉、光子の頭にこびりついている。帰路、夫に提案した。
「仙台か。サラリーマンの転勤希望ナンバー1のところだな。」
翌日、インターネット画面の前に、2人は頬を寄せる。ああだこおだ、と時間が過ぎた。

おいここも、あらここも、とプリンターにA4の用紙が溜まっていった。
年が明け、ネットで予約したフリーツアープランに2人は出かける。
牛タンだ、寿司だと美食家気取りの2人が貪る。青葉城址から見下ろせば大きなくしゃみ。
「あなた!お蕎麦、食べに行きません?」

プリントした用紙の1枚をタクシー運転手に見せる。若林区ですね、30分かかりませんよ。
「あさひ支店」と書かれた店の外観は、商売に貪欲とは思えなかった。
誠実そうな御亭主、優しそうな奥さん。ここが、ネットに載っていた蕎麦屋だな?
黙々とすすり終えて蕎麦湯を飲む。隆造と光子は同時に溜息。寿司屋の時よりにこやかだった。

 

 

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あとがき
神戸に移り住んで7年。大阪、神戸を含めて美味いうどんにあまり、出会えません。
ツユが私の口に合わないのでしょう。醤油だけの味は苦手ですし、麺も讃岐でなく手抜きが。
蕎麦に至っては無理もないですね。日中の寒暖差が激しくないと美味くならないそうです。
気候が厳しい分、東北の方はおいしい蕎麦を召し上がっていらっしゃるようです。

 最後まで、お読みいただきありがとうございました





No.00614

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ねえ、うしろついてきてる?いいじゃないか、そんなこと・・・

踊ろォ、青い靴ゥ~!え?赤い靴じゃなかったっけ?

えんやこらせ~、どっこいせ~♪ハウルさん、河内音頭はやめてくださる?

ぶんちゃっちゃ~、ぶんちゃっちゃ~♪

たらったらったらったァ、うっさぎっのだんすゥ~♪

 

ねえ、会津磐梯山は宝の山って本当?ねえねえ…あああ~通り過ぎちゃったァ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱ、ふぐすまの蕎麦は最高だっぺ。」
隣のテーブルで、外観のくたびれたオヤジが独り言。
うるせえ。おまえ、さっき何て言ってたんだ。メニューを見て、さんざん
迷った挙句、店員を呼びとめて注文を変えたくせに。優柔不断なやつだ。

ファミリーレストランなどで目にする光景、身なりは整っていても
「やっぱりグラタンセットより、京御膳にした方がよかったかしら。
 茶碗蒸しが食べたかったのよね。あの百合根が好きなのよ。」
などと迷っているご婦人がいらっしゃる。

「茶碗蒸しなら、さっき前を通った和風ファミレスの方がいいわよ。」
「やっぱり、あっちにしようかしら。そうよね。そうしよ、そうしよ。」
「すみませ~ん、急用ができてしまったのでごめんなさ~い。」
頬の部分が平均より、皮膚層の厚めな女性もいたことを思い出す。

私の元に、ざる蕎麦が運ばれる。山葵の香りが爽やかな刺激を、鼻腔にくれた。
それを箸に付け、蕎麦を2本程つまむ。多過ぎると下品であるばかりでなく、
蕎麦の風味も味わえないうちに満腹になってしまう。何と愚かな。
関西ではあまり味わうことが難しい風味を、ここぞとばかり堪能してみた。

ざる蕎麦の水切りスノコの模様が、はっきり見えるようになってしまったので
店員に蕎麦湯をお願いした。心地よい返事の対象が来るまで、考え込む。
はてさて、次はどこへ行こう。郡山から東はいわき、西は磐梯、猪苗代。
東北旅行と言っても、伊能忠敬みたくすべてを回る訳にも行かず。

昨年、飯館村で仕事をした時に、福島県庁職員と会話したことがある。
福島県は戦前、養蚕事業で潤っていた。産業構造の変化でジリ貧となり、
今では自然だけが自慢だ、と。謙遜も含め、あながちそうとも言いきれないが、
県庁所在地よりここ、郡山のほうが賑やかな気がする。

元より都会の華やかさを望んでいる訳ではないから、娯楽や商業施設の充実より
いにしえの文化が保存されている状態の方が、興味を覚える。
高速道路では、東北自動車道と磐越自動車道の交差地になっている郡山だが
一般道に於いても、高速道路がほぼ従った道筋でもある。

街道の交差は文化の交流地点でもあり、宮城県仙台市に次ぐ東北第2の人口を擁する
郡山都市圏を形成する文化がここにあった。
埼玉県川口市在住の叔母が、よくこぼす。こんな田舎は嫌いだ。郡山に帰りたい、と。
関西の私には埼玉より都会、という意味が分からなかったものである。

「おまたせしましたァ、蕎麦湯です。ごゆっくりィ。」残り露に、熱い蕎麦湯を注ぐ。
浸み込むような味に、ルチンがどうのこうの今はどうでもいい。
再び東北自動車道、私は先ほどの蕎麦湯の味を思い出しながら南下する。
郡山ジャンクション、どちらへ行こう。決めあぐねていたら通過してしまった。

 

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あとがき
今回の東北旅行は、宮城県石巻市での仕事がきっかけでした。
独り者の私は、あらゆる面に於いて自由であり帰宅の日も、それほど束縛されません。
そのせいか持ち前の優柔不断が、物見高く脇道に逸れさせます。
あちこちの撮影がしたいなって思いが、さて吉と出るやら凶と出るやら。

 

 最後まで、お読みいただきありがとうございました





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