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No.00770
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かつて我が国は、鯨を盛んに食する文化があった。
何らかの理由で打ち上げられた鯨の死体は、巨大な食料であっただろう。
それを口にするうちに自らが沖に出て、捕鯨する漁が起こった。
捕鯨用石器が出土しているようだ。約8,000年前のものと見られる。
そして12世紀以前の記録で、手銛による捕鯨が確認されている。
近代では大型船で出航、キャッチャーボートと呼ばれる船の舳先に設けた銛で
名人が狙いを定めて仕留める。海の男、最先端でもあった。
それは反捕鯨運動という国際的な批判により、撤退をやむなく甘受した。
昭和37年生まれの私は、子供の頃の学校給食に鯨肉のケチャップ煮を口にした。
当然ながら高価な部位ではなかろう。かすかすとした感触を、わずかに覚えている。
然しながら不味いもの、という記憶ではなく一つの通過した食文化として
過去の思い出になっている。そして、今でも入手可能なことを知っている。
価格の形成は、原材料費に留まらない。たとえばテレビがいい例であろう。
ブラウン管のテレビは新品の入手も困難だろうが、価格にして1万円以下。
同等の物が30年前に10万円である。そこに貨幣価値の要因が加算される。
これは需要に対する供給と流通経費が介在するからだ。
過去のようにキャッチャーボートに乗る漁師が、笑顔で酒が飲めた時代に戻れば
鯨肉は牛肉豚肉鶏肉のように、価格競争の渦中に参戦していただろう。
当時より流通システムの充実は、目を見張るものがあるはずだ。
諸国の圧力は、相当数の日本人に悲しい思いをさせ続けていることは間違いない。
ミンク鯨を中心にわずかな調査捕鯨が認められている。
首の皮一枚、とはよく言ったものだが、お陰をもって大和煮の缶詰を入手できた。
開缶すれば懐かしい味が待っていた。既に忘れかけていた存在である。
宮城県石巻市の水産加工業者が製造販売し、日本の文化を守ろうとしている。
何かと頼りなさを払拭できない現政権だが、国際捕鯨委員会に対して我が国の代表は
どこまで食い下がることができるのであろうか。これは宗教問題に似ているような。
一度に一頭しか出産しない鯨、とか哺乳類であるとか、他人事の食文化に
彼らは干渉し続けてきた。対象は日本だけではない。北欧でも貴重な食料なのだ。
私は無力であり、反捕鯨運動に対する知識も稚拙を否定できない。
鯨の刺身をいただき、缶詰をいただき、これが先祖の培ってきた食文化と感慨、
根絶やしにされることに、じんわり涙がこぼれかねない存在の1人だ。
平たく言えば、もっと食べたい。食べられなくなるのは悲しいのである。
鯨の後ろに鮪が見えている。高度成長で便利さを手にした代償で、食料自給率が
凄まじく落ち込んでいる日本。様々な問題を抱え、毎食後に大量の服薬が余儀ない
この国は、国際捕鯨委員会に抵抗することができるのであろうか。
それとも農水大臣の泣き言言い訳を、ニュースで知ることになるのだろうか。
あとがき
鯨の刺身、おいしゅうございました。
鯨の皮の身、おいしゅうございました。
鯨の大和煮、おいしゅうございました。
円谷選手も草葉の陰で泣いてるぞォ~。農水大臣、頑張れェ~い!
最後まで、お読みいただきありがとうございました



