Posts Tagged ‘黄金山神社’
No.00768
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寒流と暖流がぶつかり合い、世界三大漁場とも言われている海域。
牡鹿半島は宮城県北部、太平洋側に突き出ている。金華山という島は、その先にある。
鮎川港までは、仙台から車で2時間ほど。1時間半かかるが、石巻からバスも出ている。
島へは定期運行便を用いる。鮎川港から約20分の航行だ。
島全体が黄金山神社の神域となっている金華山。
恐山、出羽三山と並んで「奥州三霊場」に数えられている。
金が産出した鉱山であり、海を守る神を崇めている神社でもあるようだ。
島には多数の鹿が、神の使いとして保護されて生息している。
「三年続けてお参りすれば、一生お金に困ることはない」という言い伝えがあり、
そのために訪れる参拝客も少なくないらしい。
神仏への信仰心の薄い、罰当たりな私はこの辺りに疑問を抱く。
信仰心を否定するつもりはない。憲法でも保障されているとおり、信仰は自由なのだ。
11月に京都へ行った時、清水寺への不満をタクシードライバーから耳にした。
個人的な感情論や利害関係が介在した場合は別として、不満はひとつの意見である。
彼が言うところによると、京都来訪者の恐らく半数は清水寺に参詣するだろう。
それは優れた営業力によるものであり、ご利益ではないらしい。
日本での仏教は、いくつもの宗派に別かれている。
曹洞宗、臨済宗、真言宗、天台宗、浄土宗、浄土真宗、日蓮宗など、ざっと挙げてみた。
それなりに得心させられるものがあるのだが、清水寺の宗派は何なのだろう。
様々な御題目があちらこちらに書かれているため、何だか混乱してくるのである。
大阪府北部には勝尾寺という宗教施設がある。私も何度か参詣させていただいた。
元日の参詣者は凄まじい数であり、駐車場に入るのも一苦労。出たら財布が空っぽに。
やっと中に入ると至る所に賽銭箱があり、いろんな宗派の設備が用意されている。
なかでも興味を持ったのは、簡易版四国八十八箇所巡りの設備である。
今でもあるのか知らないが、片足ずつ踏めば四国八十八箇所を参ったことになるらしい。
実際に四国八十八箇所を巡れば、かなりの財力と体力を要するだろう。
御利益とは、そこへ赴くだけで十分に授かるような気がする。健康増進のためのみならず、
途中の景色や食事は楽しいはずであり、思い出という知的財産まで授かるのだ。
花は美しい。だが邪心が働けば気付かぬうちに踏み躙る。いただく食事に、手を合わす余裕が
ない者に御利益など、とんでもない。御利益は、参詣者の心に生まれるものではなかろうか。
森羅万象に感謝を忘れなければ、自ずと幸せな気分になれる。神仏は媒体に過ぎないのだ。
多少高額であっても、そこに売られているからこそ購入できる。感謝、感謝。
金華山まで参詣するのは並大抵ではなかろう。わざわざ参詣する気持ちが、既に御利益なのだ。
せっかく来たのだから、土産物を物色。いい物を見つけた。同様の市販品より高いかも。
「おっさん。2つ買うさかいに100円、負けてんか?」
そう言いかけてやめた。心の暖流と寒流がぶつかっている。六根清浄、六根清浄。
あとがき
牡鹿半島では、多数の方にお世話になりました。感謝の念に絶えません。
さて2月28日の地震津波が、全国有数の出荷量を誇る宮城県内の養殖漁場を直撃しました。
牡鹿半島以外でも三陸海岸に於いて、かなりの被害が出てしまったようです。
関係者の方々に、心よりお見舞い申し上げます。
最後まで、お読みいただきありがとうございました
No.00767
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「才三、今日の見込みはどうだ。」
「御前、天気晴朗なれど波高し。広告の存亡も危ぶまれております。」
「うむ。人間界では不況であるからな。」
「何か手を打ちませんと、我ら鹿賀家も飢え死にでございます。」
秀でた視力で港を見る才三。黄金山神社の階段からは、港が見渡せた。
よき時代では、大勢の参拝客や観光客が訪れたものである。
彼らが購入する、自動販売機の清涼飲料水までもが収益の対象なのだ。
そして鹿に与える煎餅のお陰で、御庭番を勤める鹿賀家の食事も賄われた。
「あかねっ!しっかりしろ、あかね。あかねェ~。」
若いメス鹿が倒れた。やつれ果てたあかねは、間違いなく餓死であった。
悲しき習性、人間の売っている段階で鹿煎餅を襲わない。
あくまでも購入後の客が差し出すものしか、口にしないのである。
「長老!おいら、もう我慢がなんねえだ。このままだと総倒れになるだよ。」
「そうだ、そうだ。太助の言うとおりだ。飢え死には、ごめんだ。」
「長老、覚悟を決めておくんなせい。でなければ、俺たち・・・」
「お覚悟を。長老ォ!」
「おまえたちの気持ちは、よくわかる。あかねには、可哀想なことをしてしまった。
だが軽挙妄動に走ることは許さぬ。御前様と策を練っているところぢゃ。
それより才三を見習うがよい。食べられる草を見分けて、食いつないでおる。
本来、わしらは鹿煎餅に頼らずとも、生きていけたはずぢゃ。どうぢゃな?」
言われてみれば、その通りである。人間の鹿煎餅も、才三は若い鹿に譲っていた。
長老の孫兵衛と才三が、御前様のもとに足を運ぶ。次なる策を練るためだ。
前回は人間たちを焚き付けて、広告を打たせた。しかし人間は広告に馴れてしまった。
自分たちの経済が冷え切っている以上、もはや言葉では動かなくなっている。
「おい、長老と才三さんはまだ戻らぬぞ。俺たちのために、真剣なんだな。」
策を練る、会議のようなものは夜を徹して行われた。様々な案が出されていく。
岐阜県の金華山と業務提携を行う案、距離があるため費用対効果を望めないだろう。
金華山遊園地や水族館の設備投資はどうか。箱物行政が疑問視されている。
イルカや鯨が船に化けたらどうだろう。空から金華山参りのお札を降らし、
持参者は無料で島へ渡すのだ。必然と島に金を落としていく。自販機売上でもいい。
化ける時間の長さに、無理があることが分かった。名案と思ったのだが。
「御前様。妙案がなかなか、出て参りませぬなァ。」
夜が白々と明け始めた頃、御前は腹鼓をぽおんと打った。仕方ない。こうしよう。
気は進まぬが、と切り出した案に、孫兵衛と才三がふんふんと聞き入っている。
御前は仲間の狸を総動員させ、人間を化かす。いやなに、他所では昔からやっている。
壮大な計画は着々と進み、若い狸たちも寝食を忘れて練習に励んだ。その計画とは…
あとがき
進捗状況が仲間内からメールで届いております。我ら単身赴任組も着々と行動を進めております。
宮城県内だけでなく、こうして全国で計画は実行されているのでした。
この計画が実現された後のことを考えると、夜も眠れません。
人間界の驚いた顔が目に浮かぶようです。いやァ、これは凄いぞ~!
最後まで、お読みいただきありがとうございました




